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生活保護 住居失う前に申請を - Yahoo!ニュース

 この内容は正確ではないのでは?生活保護を申請するタイミングとして、「住居を失う前に」はその通りですが、アドバイスとしては内容がちょっと雑な気がします。

 まず、基本的なところとして、生活保護の審査・決定をするのは厚生労働省ではなく、最寄りの福祉事務所です。小さい町や村にはないことが多いですが、役場の福祉担当課が窓口になっています。

www.mhlw.go.jp

 申請後14日以内(理由があれば30日以内)に通知を行うのは、生活保護受給の“可否”であって、当然“否”になって受給できない場合もあります。

 先の記事ですと、とにかく「生活保護申請しちゃいなよ!お金出るよ!」みたいにも読めますが、実際には、そう簡単でもないはずです。

 福祉事務所というのは、なかなかのくせ者でして、全国一律なようで実際は、地域性のようなものが存在します。そして、いい人に当たればすんなりと受理されますが、運が悪ければと何かと理由をつけて申請を断られたりすることもあります。

 ルールは同じなはずなのに、運用する者によって結果が変わる、、、地味に恐ろしい現実ですね。

 

 本来、生活保護自体はシンプルな制度です。所持金数万円(預貯金含む)程度ですぐに現金化できる資産がなければ、ほぼ間違いなく適用される、、というか適用しなくてはいけません。理由は簡単、憲法第25条で保障された生活水準に満たないからです。

 「若いからダメ」「働けるからダメ」「親族がいるからダメ」「車があるからダメ」「家があるからダメ」などはよく聞かれる話ですが、正しい運用は、現に困窮していれば一旦保護を開始して、他に収入が確保されれば停止(または廃止)です。

 ですから、場合によっては、受給開始後に受け取った生活保護費を返還しなければならないこともあります。(※あとで本人の知らない資産が見つかった、急に援助者が現れたなど)

 記事中の、“受給決定までの期間が早くなった”というのは、これまでは受給決定前に行っていた「資産調査」「扶養義務調査」を後にしているだけなので、とりあえず申請すればもらえてOK!という話ではありません。生活保護が本来あるべき運用方法に近づいたというだけのことです。

 ここで確認ですが、ポイントは、相談時に受給要件を満たしているかです。細かい計算は省きますが、あなたがもし、国民年金の月額満額相当(約6万5千円)以下の所持金しかなく、今後もそれ以下の見込みならば、担当者は速やかに生活保護を開始しなければなりません。

 しかし、生活保護になれば、あなたは今の場所に住み続けられるとは限りません。緊急時を脱すれば、持ち家(マンション)であれば売却、賃貸なら家賃の低い場所へ移るように“指導”されるはずです。

 記事中にあったように、確かに生活保護を受給すれば、住居の心配はなくなります。しかし、希望の場所に住み続けられるかどうかはまた別問題です。冷たいようですが、そこから免れることはできません。(※「今は無理」な理由があれば、しばらくは“指導”に従えなくても大丈夫です。)

 言い方を変えれば、住居があるうちはまだ生活保護以外にも選択の余地があります。住居がなければ、生活保護で最低限の生活を確保し、そこから人生の再スタートを目指すしか、実質方法はないと思います。はっきり申し上げて、無理にお金を借りたりするよりも、中長期的には絶対そのほうが良いです。

 ホームレス生活は決して、決してラクではありません。健康状態に自信のない方ならなおさらです。医療費の心配もなくなります。

 

 考え方は人それぞれですが、私は住居を失いそうなだけであれば、生活保護申請の前に利用できる制度は利用しておいたほうが良いと思います。実際、生活保護担当によっては、先に他の機関(リンク先 ⇒「自立相談支援機関 相談窓口一覧」)へ行くように促されることもあると思います。

 どちらにしろ、次々に出てくる(新型コロナウイルス関連の)支援策を理解するには、時間も手間もかかり過ぎるので、とりあえず専門機関に委ねてみるほうが良いことのほうが多いと思います。(※できれば2、3ヶ所)

www.hatomark.or.jp

 あと、裏技的ではありますが、政党や議員事務所に相談に行くのもありです。最●の助っ人になるかどうか、これこそ運次第かも知れませんけれど。