アメリカはいつも教えてくれる

 いやはやアメリカ合衆国、今やってるのは大統領選挙なのか訴訟戦なのか、壮大なるコントなのか、いったいなんなのかわからなくなってきました。昨年辺りまでは、テロと戦ってたはずですけれど、どうしてこうなった…?

 私は、スポーツや音楽の世界ではアメリカLoveで、経済は愛憎半々、政治に関しては憎稲晃子。なんだかんだでトータルでは親米派です。

 しかし、良くも悪くも魅力的で放っておけない国が、今は随分と内向きで騒々しい国になってしまったように思います。それもこれもトランプ現大統領のせいかと言われれば、そういうわけでもなく、それ以前からくすぶっていたことが、彼によって一気に表面化しただけではないでしょうか。

 くすぶっていたこととは何か?それは貧富の差の拡大と階層の固定化です。と言えばそれっぽく聞こえますが、要するにいわゆる“意識高い“(ついでに収入も地位も高い)系の人たちによる支配への反発だと思います。

 少し前であれば、アメリカンドリームというのは、裸一貫から大事業を成し遂げることだったのに、今は実質的にマネーゲームの勝者のこと。汗と涙の世界ではありません。ラクして儲ける奴が俺たちの領域にどんどん踏み込んでくる、、綺麗事ばかりで吐き気がする、、そう感じる人は増えていたのでは?

 やられたらやり返す、、いや、やられる前にやる国アメリカですから、彼らにしてみれば、トランプ氏が倍返しを実行してくれる存在に映ったはず。

 ところが、結局トランプ氏は、有権者を票としか見ていなかった節があり、彼らへの細やかな政策はとらなかった。その代わりに、仮想敵をつくり、人心を掌握する方法をとった。これは権力を志向する支配者の常套手段です。

 そうして、国外は中国、国内は小言の多い左派の人たちがターゲットになったのですが、問題はここから。軍事政権や一党独裁体制ならともかく、相手もそれなりの力がありますから、あちらが先鋭化すれば、こちらは更に先鋭化、そうしたらさらに、、の繰り返しで、最後は削り過ぎた鉛筆のようになって、書こうとすれば先を折ることになる。

 日本はまだそこまでにはなっていないけれど、順調に近づいている感じです。日本らしく、もっと陰湿に。

 あんなに期待されていた二大政党制も、互いにネガティブキャンペーンを続けてきた結果、与党はお友だち化、野党は自壊ですからね。その間に、確実に国は貧しくなっているわけで。

 伝統や誇りで乗り切れるのもあと少しですよ。アメリカンドリームが夢のまた夢になったように、そんなものでは食っていけないと皆が気付いたとき、一気に始まるでしょうね、終わりが。

 と言うわけで、憎しみはほどほどに。